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SHIBUYA 2025 - Ashen Reincarnation

SHIBUYA 2025 - Ashen Reincarnation

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A5サイズ / 48 ページ / 中綴じ / モノクロオフセット印刷 / 上質紙

「古いパリはもはやない (ひとつの都市の姿は、ああ、はかない人の心よりも速く変わる)」— シャルル・ボードレール「白鳥」阿部良雄訳

仕事や遊び、生活の拠点として、渋谷というこの街とは30年以上関わり続けてきた。

その間、世界各地の都市にレンズを向け続けてきた。古い歴史そのままに美観を保つ都市。行くたびに新しいビルが増えていく都市。都市づくりへの意識はいかに変容し、その意識のもとで何が生成され、何が不可逆的に失われるのか。その問いを軸に撮影を続ける中で、ある日、視点は自分の足元の街、渋谷へと向いた。きっかけは東急本店の解体だった。取り壊された脇に建つBunkamuraの壁面に刻まれたアートが、都市の崩壊を告げる使徒のごとく、鮮明に浮かび上がっていた。

使徒の登場以前より変化の予兆は目に見えていた。センター街の人波の質が変わり、文化的エッジを担った書店が消え、西武デパートが撤退し、東急ハンズが買収され、スクランブル交差点はグローバルな観光資本に塗り替えられていく。長年、見えていながら見ていなかったものが、アートを見た瞬間ようやく焦点を結んだ。私の知る渋谷の終わりは、ずっと前から始まっていた。

「輪廻転生」とは本来、魂の連続性を前提とする概念。死してなお、その本質は次の生へと引き継がれる。しかし、渋谷で起きていることはまったく異なる。コンクリートは灰になり、その灰の上に新たなコンクリートが積み上げられる。形だけは確かに再生される。しかし、魂までは引き継がれない。場所の記憶、文化的文脈、時間の堆積。それらは再開発の名のもとに消去され、特徴のない均質な都市へと建て替えられ、輪廻転生するべきものは燃え尽き、灰色に塗りつぶされていく。

過去を美化し、昔は良かったと嘆くノスタルジーに与するつもりもない。だが、その喪失は数値では測れない。タワーレコードで過ごした時間、西武の屋上から見えた景色、路地の暗がりに息づいていた音楽とタバコと文化の匂い。近すぎる距離から感じる人々の体温と、この街独特のウェットな空気感。それらは記録されることなく人々の記憶の中だけで生き、やがて消えていく。私自身もその消えゆくものの一部であることに、あのグラフィティを見てようやく気づかされた。都市は変わっていくべきだ。しかし、大切なことは、その変わり方に魂まで吹き込んでいるかどうかだ。

本作は、その遅すぎた「都市変化の目撃」の記録であり、消去が完了する前に封じ込めた「灰色の輪廻転生 — Ashen Reincarnation」への問いかけである。


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